「着いたぞ、ここだ」
大社から電車で移動し、私はお母さんとお父さんと大きな料亭に到着した。
「『西風館』・・・・高そうなお店だね・・・・」
「予約は大澄さんが取ってくれてるわ、貸し切りの個室をね」
「何だあれは!?」
すると突然、目の前から大社のハイヤーが走ってきた!
「新快速ハイヤー・・・・まさか何かあったのかしら?」
「楸!お母さん!お父さん!」
ハイヤーから降りてきたのは、なんとお姉ちゃんだった!
「お姉ちゃん!」
「椿!一体どうしたの!?」
「強い妖怪が清光に向かっていると聞いて、加勢に・・・・」
「強い妖怪?父さん達は何も聞いていないが」
「そんなはずは・・・・なるほど、まんまと騙されたわw
全部私を呼び寄せるための口実だったのね・・・・」
「一体誰がそんな事を・・・・?」
「大体見当は付いてるわ、それより・・・・久しぶり」
「椿こそ、すっかり頼れるお姉さんになって・・・・」
お母さんがお姉ちゃんをがっちりと抱き締めた。
「ごめんなさい椿、期待と責任を背負わせすぎてしまって・・・・」
「ううん、お母さんもお父さんも何も悪くない。
私が清天に残ったのは、自分で決めた事だから」
「・・・・さて、家族が全員揃ったところで、晩ご飯にするか」
「でもお父さん、予約は3人しか取ってないんじゃ・・・・」
「取り皿でももらって3人分を4人で分ければいいさ、とにかく入ろう」
西風館の中に入り、お店の人に予約の確認を取る。
「すいません、今日の6時に予約した大澄(名義上)ですけど」
「はい、4名様でご予約の大澄様ですね」
「4人・・・・?」
「確かに4名様でご予約をいただきましたが・・・・間違っていましたか?」
「いえいえ、間違ってませんよ」
「どういう事かな・・・・」
「全部、叶江さんの筋書き通りって事よ。やっと確信が付いたわ」
つまり叶江さんは4人分の予約を取り、お姉ちゃんも巧みに誘った・・・・?
私達のために、そこまで手を回してくれるなんて・・・・
一家団欒の晩ご飯が始まって数十分・・・・
「すまない、次に清天に帰れる日はいつになるか分からなくてな・・・・」
「やっぱりそうなんだ・・・・あと少しだもんね」
「研究の進み具合は?」
「そう言えば椿にはまだ話してなかったわね。
獄界の結界の術式が最近やっと分かったの。後は術のほどき方を・・・・」
「榊・・・・あの時私にもっと力があれば・・・・」
「椿、それは言わない約束だろう。その過去は悔やんでも意味がない。
だから椿も楸も、『今』出来る事を考えるんだ。そうすれば心が楽になる」
「・・・・うん、分かった」
「・・・・私も分かったわ。でも結界の話をあと一つだけさせて。
もし獄界の結界が破れたら、やっぱり全面戦争に?」
「人間と妖怪の全面戦争は・・・・避けられないわね。
私達が破る予定の獄界の『入口』は一つだけ。でも入口は他にも数ヶ所ある。
四清門にどれだけの勢力を残し、どれだけの勢力で獄界に向かうか・・・・」
「しかも獄界では人間に地の利はない。四清門より力を発揮しにくい場所だ。
椿は感じた事があるだろう、獄界でかかる凄まじい重圧を」
「ええ、獄界ではその『重圧』のせいで実力をほとんど出せなかったわ」
「もちろんその点も同時に研究を進めている。獄界で本気を出せるようにな」
2011年12月10日
第77話「ダミースクランブル」
「私も少し加減し過ぎていたわ・・・・風神加護法!」
千夜さんが祈術で自分の素早さを上げた!
「それなら私は・・・・賢神加護法!」
私は対抗して精神力を増加!
「例え精神力を高めても、私には追い付けない・・・・八連電導符!」
私の周囲を素早く動きながら千夜さんがお札投げを連発!
「ギリギリまで引き付けて・・・・風圧符!」
迫るお札を私は強い風で防いだ!
「なるほど、風圧符を地面に・・・・それなら・・・・六連榴岩珠!」
続いて千夜さんは攻撃を珠術に切り替えた!
「これなら吹き飛ばせない・・・・」
「炎霊陣!」
捨て身の覚悟で、私は陣術を唱え千夜さんに攻撃!
「椋路千夜、一本!」
「障壁を1枚捨てて陣術を・・・・!?」
陣から湧き出た追尾する炎が千夜さんに命中した!
「宮神楸、一本!」
「これでお互い後は無いですね」
「禊人同士の演義で、時間のかかる陣術はあまり使われない・・・・
その常識を覆すなんて・・・・さすがは宮神椿の妹」
「・・・・お姉ちゃんは関係ありません、私は一人の新米の禊人です」
「いい心掛けね・・・・最後は物量で勝負よ・・・・」
「はい!」
私と千夜さんがお互いに気を練り上げる!
「七連紫電長蛇縛り!」
「八連鬼火煉獄殺し!」
「両者、一本!」
そして私と千夜さんの3枚目のお札が破れ、演義は終了した。
「判定は・・・・0.7秒差で千夜さんの勝利です」
結果は私の負けで終わった。でも自分なりのベストは尽くせたと思う。
「ありがとうございました」
「こちらこそ、いい演義だったわ・・・・ありがとうございました」
私と千夜さんは互いに一礼し、初めての演義は終了した・・・・
・夕方6時・・・・
「叶江様、さっきの演義はどう考察しますか?」
「禊人としての力量は千夜さんの方が上でした。
ですが楸さんの頭の回転の早さも負けていませんね。
今頃はご両親と夕食を食べに向かっている事でしょう・・・・」
「やはり椿さんの事で悩んでいるのですか?」
「いいえ、椿さんには高確率でこちらに来るように『作戦』を練ってあります。
この場合は、意図的に『エマージェンシー』を発生させるしかないでしょう」
「・・・・なるほど、そういう事ですね」
・一方その頃・・・・
「本当ですか?清光に強力な妖怪が現れるというのは」
「はい、神主様がいち早くその妖気を察知しました。
大妖怪の可能性もあります、ぜひあなたの力を貸して下さい、宮神椿さん」
私は緊急召集により、大社の新快速ハイヤーで清光に向かっている。
清天を臨時の禊人と禊仕に任せ、ただ妹や両親の無事を祈る・・・・
ような私ではない。早く清光に着きたい一心で私は行動に出た。
「ドライバーさん、運転を替わって下さい」
「とんでもない!禊人に運転をさせるなんて!」
「大丈夫です、カーチェイスに自信はありますから」
「カー・・・・チェイス?そ、そこまで言うなら・・・・」
運転手と入れ替わり、私が新快速ハイヤーのハンドルを握る。
「シートベルトは・・・・しっかり締めて下さいね!」
そのままアクセルを踏んで清光まで全力疾走!
「は、早すぎませんか!?超特急になってます!」
「新快速ハイヤーは緊急車両扱いで、信号を無視出来るんでしたよね?
でしたら大丈夫です!あのジャンプ台でショートカットを!」
「いやいや、あれスケボー用のジャンプ台ですよ!?」
「計算は完璧です!」
新快速ハイヤーが・・・・宙を飛ぶ!
千夜さんが祈術で自分の素早さを上げた!
「それなら私は・・・・賢神加護法!」
私は対抗して精神力を増加!
「例え精神力を高めても、私には追い付けない・・・・八連電導符!」
私の周囲を素早く動きながら千夜さんがお札投げを連発!
「ギリギリまで引き付けて・・・・風圧符!」
迫るお札を私は強い風で防いだ!
「なるほど、風圧符を地面に・・・・それなら・・・・六連榴岩珠!」
続いて千夜さんは攻撃を珠術に切り替えた!
「これなら吹き飛ばせない・・・・」
「炎霊陣!」
捨て身の覚悟で、私は陣術を唱え千夜さんに攻撃!
「椋路千夜、一本!」
「障壁を1枚捨てて陣術を・・・・!?」
陣から湧き出た追尾する炎が千夜さんに命中した!
「宮神楸、一本!」
「これでお互い後は無いですね」
「禊人同士の演義で、時間のかかる陣術はあまり使われない・・・・
その常識を覆すなんて・・・・さすがは宮神椿の妹」
「・・・・お姉ちゃんは関係ありません、私は一人の新米の禊人です」
「いい心掛けね・・・・最後は物量で勝負よ・・・・」
「はい!」
私と千夜さんがお互いに気を練り上げる!
「七連紫電長蛇縛り!」
「八連鬼火煉獄殺し!」
「両者、一本!」
そして私と千夜さんの3枚目のお札が破れ、演義は終了した。
「判定は・・・・0.7秒差で千夜さんの勝利です」
結果は私の負けで終わった。でも自分なりのベストは尽くせたと思う。
「ありがとうございました」
「こちらこそ、いい演義だったわ・・・・ありがとうございました」
私と千夜さんは互いに一礼し、初めての演義は終了した・・・・
・夕方6時・・・・
「叶江様、さっきの演義はどう考察しますか?」
「禊人としての力量は千夜さんの方が上でした。
ですが楸さんの頭の回転の早さも負けていませんね。
今頃はご両親と夕食を食べに向かっている事でしょう・・・・」
「やはり椿さんの事で悩んでいるのですか?」
「いいえ、椿さんには高確率でこちらに来るように『作戦』を練ってあります。
この場合は、意図的に『エマージェンシー』を発生させるしかないでしょう」
「・・・・なるほど、そういう事ですね」
・一方その頃・・・・
「本当ですか?清光に強力な妖怪が現れるというのは」
「はい、神主様がいち早くその妖気を察知しました。
大妖怪の可能性もあります、ぜひあなたの力を貸して下さい、宮神椿さん」
私は緊急召集により、大社の新快速ハイヤーで清光に向かっている。
清天を臨時の禊人と禊仕に任せ、ただ妹や両親の無事を祈る・・・・
ような私ではない。早く清光に着きたい一心で私は行動に出た。
「ドライバーさん、運転を替わって下さい」
「とんでもない!禊人に運転をさせるなんて!」
「大丈夫です、カーチェイスに自信はありますから」
「カー・・・・チェイス?そ、そこまで言うなら・・・・」
運転手と入れ替わり、私が新快速ハイヤーのハンドルを握る。
「シートベルトは・・・・しっかり締めて下さいね!」
そのままアクセルを踏んで清光まで全力疾走!
「は、早すぎませんか!?超特急になってます!」
「新快速ハイヤーは緊急車両扱いで、信号を無視出来るんでしたよね?
でしたら大丈夫です!あのジャンプ台でショートカットを!」
「いやいや、あれスケボー用のジャンプ台ですよ!?」
「計算は完璧です!」
新快速ハイヤーが・・・・宙を飛ぶ!
第76話「禊人演義」
午後の研究があるため、私はお母さんとお父さんと一旦別れた。
その代わり、一緒に晩ご飯を食べに行く事になった。
「良かったですね、楸さん」
「はい、凄く嬉しいです」
「天運天賦法!」
その時、誰かが術を唱える声が聞こえた。聞き覚えのある声。
「合格です、祈術もかなり上達しましたね」
「・・・・ありがとうございます」
「千夜さん!久しぶりです!」
「・・・・楸、どうして清光に?」
「私が清光にお招きしました、ご両親と会ってもらうために」
千夜さんの修練に付き合ってたこの人、もしかしたら・・・・
「もしかして・・・・叶江さんですか?清地でお姉ちゃんと知り合った」
「はい、私が大澄叶江です」
「ありがとうございます、今回の件で話を通していただいて」
「いえいえ、喜んでもらえて幸いです。博秋に何かされませんでしたか?」
「叶江様、人聞きの悪い事を言わないで下さいwそれより叶江様の方が」
「何か言いました?」
「い、いえ、何でもありません!」
「・・・・ところで楸さん、この後時間はありますか?」
「はい、お母さんとお父さんと晩ご飯を食べに行くまでは」
「ちょっと千夜さんと『演義』をしてもらえませんか?」
「演義・・・・ですか?」
演義とは、禊人同士、禊仕同士、またはペア同士で行う試合のようなもの。
演義の参加者は体に『遠隔障壁』のお札を5枚以上貼り、
障壁が3枚破れた時点で負けとなる残機制である。そのため危険は少ない。
それでも、このお札は一発のダメージで力を使い果たすので回避が最重要だ。
「分かりました、よろしくお願いします」
「こちらこそ、お手柔らかに・・・・」
私達は大社の離れにある演義場に移動した。
演義場は清光と清影の2ヵ所にあり、演義を行うのに最適な場所。
4年に一度開かれる『大演義会』の会場もこの演義場らしい。
「それでは、審判・大澄叶江の立ち会いの元、
椋路千夜と宮神楸の演義を開始します!・・・・始め!」
「(千夜さんの実力は私を上回ってる・・・・まず試しに!)三連氷結符!」
最初に私はお札を3枚千夜さんに向かって投げた!
「・・・・六連爆導珠!」
予想通り千夜さんはお札を相殺し、残り3個の珠がこちらに飛んできた!
「でも避ければなんとか!」
「・・・・牛歩足枷法!」
しかし千夜さんの祈術で私の足が急に重くなった!
「これは・・・・!?しまった!」
そして爆導珠は私に命中し、遠隔障壁のお札が1枚破れてしまった!
「椋路千夜、一本!」
「禊人同士の演義は、攻撃と防御だけでは駄目よ・・・・
相手の行動を制限する事も考えないと、さっきみたいに・・・・」
禊仕がいないという事は、誰も相手を足止めしてくれないという事・・・・
今、頼れるのは・・・・自分しかいない!
「続けて行くわよ・・・・眩光珠!」
千夜さんが放り投げた珠が激しく発光した!
「目眩まし!?」
「(今のうちに近付いて・・・・)紫電縛り!」
「引っ掛かりましたね」
千夜さんが見事に『罠』を踏み抜いた!
「この地面は・・・・粘地界!?」
「衝撃符!」
粘地界に足を取られた千夜さんにすかさずお札を投げ付けた!
「宮神楸、一本!」
「標的が私しかいないなら、千夜さんは必ず私の方に向かってくる・・・・
そう考えて仕掛けておきました」
「なるほど・・・・ここからが面白くなりそうね・・・・」
その代わり、一緒に晩ご飯を食べに行く事になった。
「良かったですね、楸さん」
「はい、凄く嬉しいです」
「天運天賦法!」
その時、誰かが術を唱える声が聞こえた。聞き覚えのある声。
「合格です、祈術もかなり上達しましたね」
「・・・・ありがとうございます」
「千夜さん!久しぶりです!」
「・・・・楸、どうして清光に?」
「私が清光にお招きしました、ご両親と会ってもらうために」
千夜さんの修練に付き合ってたこの人、もしかしたら・・・・
「もしかして・・・・叶江さんですか?清地でお姉ちゃんと知り合った」
「はい、私が大澄叶江です」
「ありがとうございます、今回の件で話を通していただいて」
「いえいえ、喜んでもらえて幸いです。博秋に何かされませんでしたか?」
「叶江様、人聞きの悪い事を言わないで下さいwそれより叶江様の方が」
「何か言いました?」
「い、いえ、何でもありません!」
「・・・・ところで楸さん、この後時間はありますか?」
「はい、お母さんとお父さんと晩ご飯を食べに行くまでは」
「ちょっと千夜さんと『演義』をしてもらえませんか?」
「演義・・・・ですか?」
演義とは、禊人同士、禊仕同士、またはペア同士で行う試合のようなもの。
演義の参加者は体に『遠隔障壁』のお札を5枚以上貼り、
障壁が3枚破れた時点で負けとなる残機制である。そのため危険は少ない。
それでも、このお札は一発のダメージで力を使い果たすので回避が最重要だ。
「分かりました、よろしくお願いします」
「こちらこそ、お手柔らかに・・・・」
私達は大社の離れにある演義場に移動した。
演義場は清光と清影の2ヵ所にあり、演義を行うのに最適な場所。
4年に一度開かれる『大演義会』の会場もこの演義場らしい。
「それでは、審判・大澄叶江の立ち会いの元、
椋路千夜と宮神楸の演義を開始します!・・・・始め!」
「(千夜さんの実力は私を上回ってる・・・・まず試しに!)三連氷結符!」
最初に私はお札を3枚千夜さんに向かって投げた!
「・・・・六連爆導珠!」
予想通り千夜さんはお札を相殺し、残り3個の珠がこちらに飛んできた!
「でも避ければなんとか!」
「・・・・牛歩足枷法!」
しかし千夜さんの祈術で私の足が急に重くなった!
「これは・・・・!?しまった!」
そして爆導珠は私に命中し、遠隔障壁のお札が1枚破れてしまった!
「椋路千夜、一本!」
「禊人同士の演義は、攻撃と防御だけでは駄目よ・・・・
相手の行動を制限する事も考えないと、さっきみたいに・・・・」
禊仕がいないという事は、誰も相手を足止めしてくれないという事・・・・
今、頼れるのは・・・・自分しかいない!
「続けて行くわよ・・・・眩光珠!」
千夜さんが放り投げた珠が激しく発光した!
「目眩まし!?」
「(今のうちに近付いて・・・・)紫電縛り!」
「引っ掛かりましたね」
千夜さんが見事に『罠』を踏み抜いた!
「この地面は・・・・粘地界!?」
「衝撃符!」
粘地界に足を取られた千夜さんにすかさずお札を投げ付けた!
「宮神楸、一本!」
「標的が私しかいないなら、千夜さんは必ず私の方に向かってくる・・・・
そう考えて仕掛けておきました」
「なるほど・・・・ここからが面白くなりそうね・・・・」
第75話「清光での再会」
「おはよう・・・・あれ?玲人君は?」
「何言ってるの楸、玲人君なら昨日から里帰り中じゃない」
「あっ、そうだったw」
8月23日、玲人君は実家に里帰りした。今日の夜まで戻ってこないとか。
「いいなぁ・・・・お母さんとお父さんに会えて・・・・」
「・・・・楸も会いたい?」
「うん、でも2人で清天を離れるのは無理だもんね・・・・」
「『2人なら』ね。でも楸だけなら清光に行ってもいいわよ」
「それじゃお姉ちゃんが・・・・」
私がそう言いかけると、お姉ちゃんは私の両肩を軽くポンと叩いた。
「楸は優しいのね。その優しさだけでお姉ちゃんはお腹一杯よ。
この前に清地で会った人がいるから、話を通してみるわね」
私は、結局お姉ちゃんの優しさに甘える事にした。
電車で4時間かけて清光まで行くと、男の人が待ってくれてるらしい。
「お待ちしておりました、どうぞ乗って下さい」
「あの、国崎博秋さん・・・・で間違いないですよね?」
「ええ、こちらが名刺です」
念のため、博秋さんの名刺を確認させてもらった。
『誘拐されたら大変だから名前の確認を』とお姉ちゃんも言っていた。
私は博秋さんの車に乗り込み、大社に向かう。
「楸さんは、確か高校生でしたよね?」
「あっ、はい、高校1年生です」
「本来ならまだご両親の愛情が必要な年頃のはず・・・・ご立派ですね」
「いえ、そう言われると照れます・・・・」
「本当は椿さんもお招きしたかったのですが、拒否されてしまいました」
「お姉ちゃんも?でも清天に禊人がいなくなったら・・・・」
「叶江様の交渉力なら、理由を問わず臨時の禊人や禊仕の派遣が可能です。
今回も既に人事部と交渉を済ませ、派遣の許可を頂いておりました。
楸さんや椿さんの気持ちを察しておられたのでしょうが・・・・残念です」
お姉ちゃん・・・・もしかして会いたくないのかな・・・・?
そして私は清光の大社に到着した。ここが禊人と禊仕の総本山。
全ての禊人と禊仕の頂点に立つ、通称『神主様』もこの大社で暮らしている。
私の最初の行き先は、大社の一角にある研究室。そこに・・・・
「失礼します、国崎です。娘さんをお連れしました」
「入りなさい」
「お母さん!お父さん!」
数年ぶりの再会。思わず涙がこぼれた。
「楸・・・・!」
「元気にしてたか?今朝いきなり来るって連絡があったから驚いたよ」
「うん、でもお姉ちゃんは来なかったけど・・・・」
「その話も聞いてるわ。たぶん宮神家としての責任が理由ね。
椿は『宮神家の誰かが清天に留まって清天を守る』事を優先したのかしら」
「何で分かるの?」
「自分の娘の事を知らない親なんて、親とは言えないわよ」
「私も・・・・清天にいた方がよかったのかな・・・・」
「そんな事はない、会えて嬉しいんだから堅い事は言いっこなしだ」
私は顔を下に向けたが、お父さんがすぐに否定した。
「もしかしたら、研究もあと少しで終わるかもしれないわね」
「本当に!?」
「獄界の結界の術式は分かったから、後はその『ほどき方』を探すだけ。
結界を打ち破る事が出来れば・・・・長かった戦いも終わるかもしれないわ」
大昔から続いてきた、人間と悪鬼悪霊の戦い・・・・
その歴史が終わる偉大な瞬間を、私は迎えることになるのだろうか・・・・
「もちろん獄界には妖怪がたくさんいる。全面戦争になるはずだ。
その時は・・・・楸達にも力を貸してほしい」
「うん、頑張るよ!」
「何言ってるの楸、玲人君なら昨日から里帰り中じゃない」
「あっ、そうだったw」
8月23日、玲人君は実家に里帰りした。今日の夜まで戻ってこないとか。
「いいなぁ・・・・お母さんとお父さんに会えて・・・・」
「・・・・楸も会いたい?」
「うん、でも2人で清天を離れるのは無理だもんね・・・・」
「『2人なら』ね。でも楸だけなら清光に行ってもいいわよ」
「それじゃお姉ちゃんが・・・・」
私がそう言いかけると、お姉ちゃんは私の両肩を軽くポンと叩いた。
「楸は優しいのね。その優しさだけでお姉ちゃんはお腹一杯よ。
この前に清地で会った人がいるから、話を通してみるわね」
私は、結局お姉ちゃんの優しさに甘える事にした。
電車で4時間かけて清光まで行くと、男の人が待ってくれてるらしい。
「お待ちしておりました、どうぞ乗って下さい」
「あの、国崎博秋さん・・・・で間違いないですよね?」
「ええ、こちらが名刺です」
念のため、博秋さんの名刺を確認させてもらった。
『誘拐されたら大変だから名前の確認を』とお姉ちゃんも言っていた。
私は博秋さんの車に乗り込み、大社に向かう。
「楸さんは、確か高校生でしたよね?」
「あっ、はい、高校1年生です」
「本来ならまだご両親の愛情が必要な年頃のはず・・・・ご立派ですね」
「いえ、そう言われると照れます・・・・」
「本当は椿さんもお招きしたかったのですが、拒否されてしまいました」
「お姉ちゃんも?でも清天に禊人がいなくなったら・・・・」
「叶江様の交渉力なら、理由を問わず臨時の禊人や禊仕の派遣が可能です。
今回も既に人事部と交渉を済ませ、派遣の許可を頂いておりました。
楸さんや椿さんの気持ちを察しておられたのでしょうが・・・・残念です」
お姉ちゃん・・・・もしかして会いたくないのかな・・・・?
そして私は清光の大社に到着した。ここが禊人と禊仕の総本山。
全ての禊人と禊仕の頂点に立つ、通称『神主様』もこの大社で暮らしている。
私の最初の行き先は、大社の一角にある研究室。そこに・・・・
「失礼します、国崎です。娘さんをお連れしました」
「入りなさい」
「お母さん!お父さん!」
数年ぶりの再会。思わず涙がこぼれた。
「楸・・・・!」
「元気にしてたか?今朝いきなり来るって連絡があったから驚いたよ」
「うん、でもお姉ちゃんは来なかったけど・・・・」
「その話も聞いてるわ。たぶん宮神家としての責任が理由ね。
椿は『宮神家の誰かが清天に留まって清天を守る』事を優先したのかしら」
「何で分かるの?」
「自分の娘の事を知らない親なんて、親とは言えないわよ」
「私も・・・・清天にいた方がよかったのかな・・・・」
「そんな事はない、会えて嬉しいんだから堅い事は言いっこなしだ」
私は顔を下に向けたが、お父さんがすぐに否定した。
「もしかしたら、研究もあと少しで終わるかもしれないわね」
「本当に!?」
「獄界の結界の術式は分かったから、後はその『ほどき方』を探すだけ。
結界を打ち破る事が出来れば・・・・長かった戦いも終わるかもしれないわ」
大昔から続いてきた、人間と悪鬼悪霊の戦い・・・・
その歴史が終わる偉大な瞬間を、私は迎えることになるのだろうか・・・・
「もちろん獄界には妖怪がたくさんいる。全面戦争になるはずだ。
その時は・・・・楸達にも力を貸してほしい」
「うん、頑張るよ!」
第74話「散り行く付喪神」
「一体どうなってんだよ・・・・紅正って誰だ?」
「実は昨日・・・・かくかくしかじか・・・・
でも昨日とは違って、みーちゃんと紅正が『協力』してるけど・・・・」
「グワアァァァ!」
「好きなように私を振り回せ!お前の期待に添ってやるぜ!」
「本当にいいのね?じゃあ・・・・とにかく速く!」
瑞華が真正面から巨大魚に飛び掛かった!
「任せろ!無双微塵斬り!」
応えるように紅正が巨大魚を滅多斬り!
「これなら倒せるんじゃない!?」
「いや、表面に傷は付くが内部に届いてないぜ・・・・
あの技を使う時かもしれないな・・・・」
「あの技?じゃあそれで!」
「・・・・了解!まず跳んでくれ!」
紅正に言われ、瑞華は大きくジャンプした!
「えっ嘘!?私こんなに跳べたっけ!?」
「私の力で身体能力を強化してるだけだぜ!
そして・・・・これで『最期』だ!紅正繚乱撃!」
空中から凄い勢いで紅正が巨大魚に突き刺さる!
「グギャァァァ・・・・」
脳天を貫かれた巨大魚が遂に倒れた!
「すげぇ!圧倒的だ!」
「紅正の妖力のおかげでもあるけど、みーちゃんと紅正の相性もあるよ。
何で共鳴したのかは分からないけど・・・・」
「信じられない・・・・私があんな化け物を・・・・」
「ああ・・・・見事だぜ・・・・これで・・・・」
突然、紅正の言葉が途絶えた。
「ちょっと?最期まで言いなさいよ、これで何?」
「妖力が・・・・消えてる・・・・」
楸が紅正に軽く触れ、一言告げた。
「な、何でや!」
「たぶんさっきの一撃で妖力を使い果たしたんだと思う・・・・」
「そんな・・・・最期の散りざまってわけ・・・・?
・・・・ありがとう、最高の包丁だったわ」
「こうなったのもあっしの責任っす・・・・ヌシ釣りなんてしなかったら」
「カズは謝らなくていいわよ。魚と戦ってる時の紅正、結構楽しんでたから。
今私達に出来る事は・・・・この魚を料理する事よ」
料理、か・・・・料理好きの紅正にはちょうどいい終わり方かもな。
「・・・・でもこの魚、食べられるんでしょうか?」
「ま、まあ一応魚だし何とかなるんじゃないですか?」
でもそこは考えてなかったのかw
とりあえず全部は食べられないので、昨日みたいに切り身にして焼く事に。
これが意外と美味かった。まさかこんなに美味い魚だったとは・・・・
「皆様ー!大丈夫ですかー!?」
食べ終わってから30分ほどで、捜索隊が無人島に到着した。
こうして俺達の無人島合宿は終わったのだ・・・・
「いやはや、無事で何よりです。旦那様と奥様も心配しておいででした」
「それより、ランスロットに謝るべき事が・・・・
紅正を勝手に使ってしまい、・・・・」
エリシアさんがランスロットさんに妖力の無くなった紅正を手渡した。
「・・・・ただの包丁になっていますな・・・・
以前のような鋭さが感じられませんが・・・・」
「ごめんなさい!紅正に宿っていた人は妖力が無くなってもう・・・・」
すぐさま瑞華が頭を直角に下げて謝った。
「いえいえ、本気を出せる人に出会えて紅正もさぞかし本望でしょう。
長年の友との別れは少し寂しいですが・・・・感謝します。
さて・・・・港に着くまで時間もあります。ごゆっくりおくつろぎ下さい」
こんなに記憶に残る合宿なんて、滅多にないだろう。
・・・・とりあえず帰ったら椿さんの手料理が食べたい。ふとそう思った。
「実は昨日・・・・かくかくしかじか・・・・
でも昨日とは違って、みーちゃんと紅正が『協力』してるけど・・・・」
「グワアァァァ!」
「好きなように私を振り回せ!お前の期待に添ってやるぜ!」
「本当にいいのね?じゃあ・・・・とにかく速く!」
瑞華が真正面から巨大魚に飛び掛かった!
「任せろ!無双微塵斬り!」
応えるように紅正が巨大魚を滅多斬り!
「これなら倒せるんじゃない!?」
「いや、表面に傷は付くが内部に届いてないぜ・・・・
あの技を使う時かもしれないな・・・・」
「あの技?じゃあそれで!」
「・・・・了解!まず跳んでくれ!」
紅正に言われ、瑞華は大きくジャンプした!
「えっ嘘!?私こんなに跳べたっけ!?」
「私の力で身体能力を強化してるだけだぜ!
そして・・・・これで『最期』だ!紅正繚乱撃!」
空中から凄い勢いで紅正が巨大魚に突き刺さる!
「グギャァァァ・・・・」
脳天を貫かれた巨大魚が遂に倒れた!
「すげぇ!圧倒的だ!」
「紅正の妖力のおかげでもあるけど、みーちゃんと紅正の相性もあるよ。
何で共鳴したのかは分からないけど・・・・」
「信じられない・・・・私があんな化け物を・・・・」
「ああ・・・・見事だぜ・・・・これで・・・・」
突然、紅正の言葉が途絶えた。
「ちょっと?最期まで言いなさいよ、これで何?」
「妖力が・・・・消えてる・・・・」
楸が紅正に軽く触れ、一言告げた。
「な、何でや!」
「たぶんさっきの一撃で妖力を使い果たしたんだと思う・・・・」
「そんな・・・・最期の散りざまってわけ・・・・?
・・・・ありがとう、最高の包丁だったわ」
「こうなったのもあっしの責任っす・・・・ヌシ釣りなんてしなかったら」
「カズは謝らなくていいわよ。魚と戦ってる時の紅正、結構楽しんでたから。
今私達に出来る事は・・・・この魚を料理する事よ」
料理、か・・・・料理好きの紅正にはちょうどいい終わり方かもな。
「・・・・でもこの魚、食べられるんでしょうか?」
「ま、まあ一応魚だし何とかなるんじゃないですか?」
でもそこは考えてなかったのかw
とりあえず全部は食べられないので、昨日みたいに切り身にして焼く事に。
これが意外と美味かった。まさかこんなに美味い魚だったとは・・・・
「皆様ー!大丈夫ですかー!?」
食べ終わってから30分ほどで、捜索隊が無人島に到着した。
こうして俺達の無人島合宿は終わったのだ・・・・
「いやはや、無事で何よりです。旦那様と奥様も心配しておいででした」
「それより、ランスロットに謝るべき事が・・・・
紅正を勝手に使ってしまい、・・・・」
エリシアさんがランスロットさんに妖力の無くなった紅正を手渡した。
「・・・・ただの包丁になっていますな・・・・
以前のような鋭さが感じられませんが・・・・」
「ごめんなさい!紅正に宿っていた人は妖力が無くなってもう・・・・」
すぐさま瑞華が頭を直角に下げて謝った。
「いえいえ、本気を出せる人に出会えて紅正もさぞかし本望でしょう。
長年の友との別れは少し寂しいですが・・・・感謝します。
さて・・・・港に着くまで時間もあります。ごゆっくりおくつろぎ下さい」
こんなに記憶に残る合宿なんて、滅多にないだろう。
・・・・とりあえず帰ったら椿さんの手料理が食べたい。ふとそう思った。
第73話「夜明けと共に現れて」
午後10時、就寝。
念のため、俺とカズと部長で炎の管理と見張りを順番にする事になった。
俺のシフトは最初の3時間、午前1時に部長と交代する。
部長のシフトは午前4時まで、カズのシフトは午前7時まで、3時間ずつだ。
「よく考えたら、部長のシフトが一番厳しいんだよな・・・・
睡眠時間が2つに分割されるわけだし・・・・本当に頼りになる人だ」
「親分、話でもしないっすか?」
見張り中の俺の隣にカズが座る。
「寝なくていいのか?お前のシフト早朝だろ?」
「枕がないと寝付けない体質なんっすよ」
「意外と神経質だなw」
「まあ、あっしら男衆で見張りをするのも悪くないと思うっす。
『睡眠不足は肌と胸の敵』って妹の舞裕もよく言ってたっすから」
「肌は分かるが胸は初耳だぞwそりゃ少しは大きくなるだろうがw」
「・・・・ところで親分、明日『ヌシ』に挑もうと思ってるっす」
「ヌシ?」
「この辺りの海を統べる巨大魚っす。
あっしは昼間に釣りをしてる時に、その巨大魚が飛び上がるのを見たっす」
「そんな奴がいるのか・・・・まあ、カズの腕なら釣れるんじゃないか?」
「親分に言われると自身が付くっす。じゃああっしはそろそろ寝るっす」
カズは気持ちが高揚したまま小屋に戻った。
興奮したら余計眠れないんじゃないだろうか・・・・?
「・・・・あと1時間半、何事もなけりゃいいが・・・・」
「待てー・・・・イトカワ星人ー・・・・」
その瞬間、俺は後ろから首をガッチリ絞められた!
「そ、そうだ・・・・楸の寝相を忘れてた・・・・
ってか寝ながら俺の所まで来たのかw相変わらず凄いなw」
「むにゃむにゃ・・・・変わり身だった・・・・」
しかし楸は俺の首から手を離し、寝返りで遠くに転がっていった。
「一度お前の夢を覗かせてくれw・・・・っておい!そっちは岩」
寝返りを打ちながら楸がガァンと岩で頭を打った!
「ひっ、楸ぃー!マジで大丈夫かー!?」
「な、何でこうなったの・・・・」
そして翌朝、午前8時・・・・
「玲人!玲人っ!起きなさいよ!」
「何だよ瑞華・・・・朝飯の時間か?」
「楸がでっかい魚と戦ってんのよ!すぐ加勢して!」
「何だって!?」
でっかい魚・・・・まさかカズが釣った近海のヌシか!?
俺は昨日の崖まで全力疾走した。すると想像以上に巨大な魚の姿が見える。
「親分!こいつ只者じゃないっすよ!」
「何だこいつ・・・・手足が生えてやがるw」
「あっ玲人君!力を貸して!」
「分かった!宣言を頼む!」
「禊仕、参戦!」
楸の参戦宣言で俺の体に力が・・・・湧いてこない。
「あれ・・・・?いつもみたいな感じがないな・・・・」
「もしかして・・・・参戦宣言が神様に届いてない!?」
「何っ!?そんな事があるのか!?」
「うん、日本から離れすぎると届かない事もあるってお姉ちゃんが・・・・」
「マジかよw」
「マジだよw」
「ギャオォォォ!」
巨大魚がすかさず口を開けて突撃してきた!
「五連電導珠!」
楸も巨大魚に電撃を加えて対抗!
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「・・・・楸、何か疲れてないか?」
「四清門からも離れすぎてるから、いつもより精神力の消耗が・・・・」
「そんな状態で戦ってたのかよ!?」
「グギャァァァ!」
再び巨大魚が俺達に襲い掛かる!
「力を貸すぜ!」
その時、巨大魚の体に切り傷が付いた!
「・・・・瑞華!?」
「紅正が『捌かせてくれ』ってうるさいのよ」
念のため、俺とカズと部長で炎の管理と見張りを順番にする事になった。
俺のシフトは最初の3時間、午前1時に部長と交代する。
部長のシフトは午前4時まで、カズのシフトは午前7時まで、3時間ずつだ。
「よく考えたら、部長のシフトが一番厳しいんだよな・・・・
睡眠時間が2つに分割されるわけだし・・・・本当に頼りになる人だ」
「親分、話でもしないっすか?」
見張り中の俺の隣にカズが座る。
「寝なくていいのか?お前のシフト早朝だろ?」
「枕がないと寝付けない体質なんっすよ」
「意外と神経質だなw」
「まあ、あっしら男衆で見張りをするのも悪くないと思うっす。
『睡眠不足は肌と胸の敵』って妹の舞裕もよく言ってたっすから」
「肌は分かるが胸は初耳だぞwそりゃ少しは大きくなるだろうがw」
「・・・・ところで親分、明日『ヌシ』に挑もうと思ってるっす」
「ヌシ?」
「この辺りの海を統べる巨大魚っす。
あっしは昼間に釣りをしてる時に、その巨大魚が飛び上がるのを見たっす」
「そんな奴がいるのか・・・・まあ、カズの腕なら釣れるんじゃないか?」
「親分に言われると自身が付くっす。じゃああっしはそろそろ寝るっす」
カズは気持ちが高揚したまま小屋に戻った。
興奮したら余計眠れないんじゃないだろうか・・・・?
「・・・・あと1時間半、何事もなけりゃいいが・・・・」
「待てー・・・・イトカワ星人ー・・・・」
その瞬間、俺は後ろから首をガッチリ絞められた!
「そ、そうだ・・・・楸の寝相を忘れてた・・・・
ってか寝ながら俺の所まで来たのかw相変わらず凄いなw」
「むにゃむにゃ・・・・変わり身だった・・・・」
しかし楸は俺の首から手を離し、寝返りで遠くに転がっていった。
「一度お前の夢を覗かせてくれw・・・・っておい!そっちは岩」
寝返りを打ちながら楸がガァンと岩で頭を打った!
「ひっ、楸ぃー!マジで大丈夫かー!?」
「な、何でこうなったの・・・・」
そして翌朝、午前8時・・・・
「玲人!玲人っ!起きなさいよ!」
「何だよ瑞華・・・・朝飯の時間か?」
「楸がでっかい魚と戦ってんのよ!すぐ加勢して!」
「何だって!?」
でっかい魚・・・・まさかカズが釣った近海のヌシか!?
俺は昨日の崖まで全力疾走した。すると想像以上に巨大な魚の姿が見える。
「親分!こいつ只者じゃないっすよ!」
「何だこいつ・・・・手足が生えてやがるw」
「あっ玲人君!力を貸して!」
「分かった!宣言を頼む!」
「禊仕、参戦!」
楸の参戦宣言で俺の体に力が・・・・湧いてこない。
「あれ・・・・?いつもみたいな感じがないな・・・・」
「もしかして・・・・参戦宣言が神様に届いてない!?」
「何っ!?そんな事があるのか!?」
「うん、日本から離れすぎると届かない事もあるってお姉ちゃんが・・・・」
「マジかよw」
「マジだよw」
「ギャオォォォ!」
巨大魚がすかさず口を開けて突撃してきた!
「五連電導珠!」
楸も巨大魚に電撃を加えて対抗!
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「・・・・楸、何か疲れてないか?」
「四清門からも離れすぎてるから、いつもより精神力の消耗が・・・・」
「そんな状態で戦ってたのかよ!?」
「グギャァァァ!」
再び巨大魚が俺達に襲い掛かる!
「力を貸すぜ!」
その時、巨大魚の体に切り傷が付いた!
「・・・・瑞華!?」
「紅正が『捌かせてくれ』ってうるさいのよ」
2011年11月07日
第72話「島の夜空を独り占め」
俺達7人が全員揃ったところで、無人島での夕食が始まった。
「すげーな・・・・無人島でもこんな豪勢な料理が食えるんだ・・・・」
「魚の切り身に醤油を付けて焼いただけだけどね」
「そう言えば、一つ気になってた事があるんっすけど」
「気になってた事?」
「部長は元々、どこで合宿する予定だったんっすか?」
「・・・・無人島だ」
「えっ?」
「っちゅー事は、うちらは最初からここに来るつもりで?」
「いや、本当はあらかじめ道具を揃えた島に行く予定だった。
それがあの嵐で、予定とは違うこの島に漂着してしまった。
こんな事になってしまい、部長として、一人の人間として申し訳ない!」
部長が深々と頭を下げた。その表情から相当思い詰めた感じが伺える。
「謝る事はないですよ部長、私達にはどうしようもない事態ですし」
「そうそう、それに俺達も部長の判断に助けられてますから」
「頼りにしてますよ、二階堂部長」
「・・・・すまない!」
「では、堅い話はここまでにしましょう。夕食が冷めてしまいますよ」
夕食が終わり、辺りはすっかり暗くなった。
それでも俺達のベースキャンプは炎のおかげで明るさを保っている。
「凄い星空だな・・・・」
ベースキャンプから離れて崖に立つと、夜空に無数の星が浮かぶ。
こんな星空は、都会でも町中でも見た事がない。
「無人島は余計な光が少ないから、星がよく見えるんだよ」
気が付けば、楸も後ろにいた。
「楸も涼みに来たのか?」
「うん、クーラーの有り難みがよく分かったよ。火のそばも暑いし」
「何だそれw」
「この前のお姉ちゃんの話、すごかったね」
「ああ、特にあの時間を止める・・・・えっと・・・・何だっけ?」
「光陰封咒?」
「そう、それそれ!あれってもう反則技のレベルじゃないか?」
「確かに凄い術だけど、その分使える人は少ないよ。
普通は15年くらい修練を積まないと発動もできない術だから」
そんな術を椿さんはあの歳で・・・・いや、歳の話はやめようw
「・・・・でも、そんなお姉ちゃんでも使えない術があるんだ」
「椿さんでも使えない術?」
「禊人の家系に代々伝わる108の術、その108番目・・・・
私みたいな並大抵の禊人は、術の名前を知る事すら許されない・・・・」
「それを椿さんは・・・・知ってるのか?」
「・・・・分からない。でもたぶん知ってると思う」
一体どんな術なんだろうか・・・・どうせ俺には分からないだろうが。
「私も・・・・もっと頑張らないと駄目だね。
お姉ちゃんみたいな強い禊人に・・・・なれるかな?」
「・・・・無理だな」
俺はあっさりと冷淡な返事をしてやった。
「ええっ!?・・・・そっか・・・・無理かな・・・・」
「だってお前は『宮神 楸』であって、『宮神 椿』じゃないだろ?」
「・・・・それって・・・・」
「お前は他の誰にもなれないし、誰もお前にはなれない。
だからお前は『楸みたいに強い楸』を目指せばいいんだよ」
「玲人君・・・・言い回しがカッコよすぎて逆に面白いよw」
いきなり楸が腹をかかえて笑い始めた。
「なっ、何でそこで笑うんだよ!」
「ごめんごめん、でも何か言葉にできないギャップが・・・・あはははw」
「お、俺だってちょっと恥ずかしかったんだよ!頼むから笑わないでくれ!」
俺の黒歴史が、何故か1つ増えた・・・・
「はー・・・・やっと笑いがおさまったよ・・・・そろそろ戻ろっか」
「ああ、そうだな」
「すげーな・・・・無人島でもこんな豪勢な料理が食えるんだ・・・・」
「魚の切り身に醤油を付けて焼いただけだけどね」
「そう言えば、一つ気になってた事があるんっすけど」
「気になってた事?」
「部長は元々、どこで合宿する予定だったんっすか?」
「・・・・無人島だ」
「えっ?」
「っちゅー事は、うちらは最初からここに来るつもりで?」
「いや、本当はあらかじめ道具を揃えた島に行く予定だった。
それがあの嵐で、予定とは違うこの島に漂着してしまった。
こんな事になってしまい、部長として、一人の人間として申し訳ない!」
部長が深々と頭を下げた。その表情から相当思い詰めた感じが伺える。
「謝る事はないですよ部長、私達にはどうしようもない事態ですし」
「そうそう、それに俺達も部長の判断に助けられてますから」
「頼りにしてますよ、二階堂部長」
「・・・・すまない!」
「では、堅い話はここまでにしましょう。夕食が冷めてしまいますよ」
夕食が終わり、辺りはすっかり暗くなった。
それでも俺達のベースキャンプは炎のおかげで明るさを保っている。
「凄い星空だな・・・・」
ベースキャンプから離れて崖に立つと、夜空に無数の星が浮かぶ。
こんな星空は、都会でも町中でも見た事がない。
「無人島は余計な光が少ないから、星がよく見えるんだよ」
気が付けば、楸も後ろにいた。
「楸も涼みに来たのか?」
「うん、クーラーの有り難みがよく分かったよ。火のそばも暑いし」
「何だそれw」
「この前のお姉ちゃんの話、すごかったね」
「ああ、特にあの時間を止める・・・・えっと・・・・何だっけ?」
「光陰封咒?」
「そう、それそれ!あれってもう反則技のレベルじゃないか?」
「確かに凄い術だけど、その分使える人は少ないよ。
普通は15年くらい修練を積まないと発動もできない術だから」
そんな術を椿さんはあの歳で・・・・いや、歳の話はやめようw
「・・・・でも、そんなお姉ちゃんでも使えない術があるんだ」
「椿さんでも使えない術?」
「禊人の家系に代々伝わる108の術、その108番目・・・・
私みたいな並大抵の禊人は、術の名前を知る事すら許されない・・・・」
「それを椿さんは・・・・知ってるのか?」
「・・・・分からない。でもたぶん知ってると思う」
一体どんな術なんだろうか・・・・どうせ俺には分からないだろうが。
「私も・・・・もっと頑張らないと駄目だね。
お姉ちゃんみたいな強い禊人に・・・・なれるかな?」
「・・・・無理だな」
俺はあっさりと冷淡な返事をしてやった。
「ええっ!?・・・・そっか・・・・無理かな・・・・」
「だってお前は『宮神 楸』であって、『宮神 椿』じゃないだろ?」
「・・・・それって・・・・」
「お前は他の誰にもなれないし、誰もお前にはなれない。
だからお前は『楸みたいに強い楸』を目指せばいいんだよ」
「玲人君・・・・言い回しがカッコよすぎて逆に面白いよw」
いきなり楸が腹をかかえて笑い始めた。
「なっ、何でそこで笑うんだよ!」
「ごめんごめん、でも何か言葉にできないギャップが・・・・あはははw」
「お、俺だってちょっと恥ずかしかったんだよ!頼むから笑わないでくれ!」
俺の黒歴史が、何故か1つ増えた・・・・
「はー・・・・やっと笑いがおさまったよ・・・・そろそろ戻ろっか」
「ああ、そうだな」
第71話「狂いの包丁」
小屋の修理がやっと終わった。一晩を過ごすだけならこれで十分だと思う。
玲人君とカズ君と部長は森の方へ木の実などの採集に向かった。
その間に私達女性陣は魚を調理する事になる。
「じゃあ、とりあえず魚を捌いて焼こっか」
「どうやって?包丁がないでしょ?」
「包丁ならありますよ」
エリシアさんが包丁を取り出した。かなり使い込まれている包丁だ。
「ランスロットが常備していた包丁『紅正』です。血に飢えていますよ?」
「怖い事をさらりと言わんといて下さいwしかも何で常備してるんですかw」
「これがこの島に流れ着いていたのも何かの縁、使わせて頂きましょう」
「・・・・ちょっと持たせて下さい」
突然、みーちゃんが包丁紅正を持たせてほしいと言った。
「構いませんよ、どうぞ」
エリシアさんがみーちゃんに紅正を手渡す。
「ふふふ・・・・この感触、しっくり来るぜ!」
するとみーちゃんの目の色が赤に変わり豹変した!
「ちょっ、自分どないしたん!?言葉変やで!?」
「楸!魚を食べる分だけ投げろ!」
「えっ!?えーと・・・・分かった!」
私は言われたとおり、バケツの中から魚を7匹取り出して投げた!
「バラバラに切り裂いてやんよ!おらぁっ!」
すると豹変したみーちゃんは空中で全ての魚を綺麗に捌いた!
「凄い!目に見えやん速さや!」
「まさか・・・・紅正が共鳴したのでしょうか?」
「そうだよ、今まで私を使ってきた奴らの中で最もピッタリの体だぜ!」
「心身浄化符!」
危険を察した私はすかさず浄化のお札をみーちゃんに投げた!
「ううっ・・・・今のはひどいぜ・・・・私は悪霊じゃないのに」
包丁紅正から、人の姿をした者が飛び出して姿を見せた。
「ひょっとして・・・・付喪神様?」
「そうそう、ただの料理好きのしがない付喪神だぜ・・・・
調子に乗りすぎたんだ、もう体を支配するつもりはないから許してくれ!」
「それなら・・・・また明日の朝お願いします。今日はもう切る物がないので」
「ありがたい!感謝するぜ!」
付喪神が紅正に戻り、私は紅正をみーちゃんから取り上げた。
「あれ?私は何を・・・・?」
「実は・・・・かくかくしかじか・・・・」
「そんな事があったの!?
確かに『使え・・・・使え・・・・』って包丁から声がしたけど・・・・」
「紅正がみーちゃんの意識に語り掛けたんだね、和解したしもう大丈夫だよ」
「せやな、魚も綺麗に捌けた事やし手間が省けたわ」
「でも、この後はどうしますか?調味料がありませんけど」
「・・・・忘れてましたw」
確かにここは無人島、調味料を都合よく用意してるはずがない。
「調味料・・・・醤油ならあるで」
すると莉子ちゃんがあっさりと料理用の醤油を取り出した。
「何で持ってんのよw」
「いや、今朝寝ぼけとったから麦茶と間違えて・・・・」
「私も烏龍茶と醤油を間違えて一口飲んだ事あるよ。たまにあるよねー」
「いや普通は間違えないわよw色の濃さも違うしw」
「これに醤油をたっぷり付けて焼く・・・・という感じでしょうか?」
「そうですね、鉄板台も作ってもらいましたし。高速船の残骸ですけどw」
石を積み上げて簡単な釜戸を作り、
その上に高速船の残骸を鉄板代わりにして置いた。術で浄化は施してある。
「それじゃあ、焼こっか」
「オー!」
玲人君とカズ君と部長は森の方へ木の実などの採集に向かった。
その間に私達女性陣は魚を調理する事になる。
「じゃあ、とりあえず魚を捌いて焼こっか」
「どうやって?包丁がないでしょ?」
「包丁ならありますよ」
エリシアさんが包丁を取り出した。かなり使い込まれている包丁だ。
「ランスロットが常備していた包丁『紅正』です。血に飢えていますよ?」
「怖い事をさらりと言わんといて下さいwしかも何で常備してるんですかw」
「これがこの島に流れ着いていたのも何かの縁、使わせて頂きましょう」
「・・・・ちょっと持たせて下さい」
突然、みーちゃんが包丁紅正を持たせてほしいと言った。
「構いませんよ、どうぞ」
エリシアさんがみーちゃんに紅正を手渡す。
「ふふふ・・・・この感触、しっくり来るぜ!」
するとみーちゃんの目の色が赤に変わり豹変した!
「ちょっ、自分どないしたん!?言葉変やで!?」
「楸!魚を食べる分だけ投げろ!」
「えっ!?えーと・・・・分かった!」
私は言われたとおり、バケツの中から魚を7匹取り出して投げた!
「バラバラに切り裂いてやんよ!おらぁっ!」
すると豹変したみーちゃんは空中で全ての魚を綺麗に捌いた!
「凄い!目に見えやん速さや!」
「まさか・・・・紅正が共鳴したのでしょうか?」
「そうだよ、今まで私を使ってきた奴らの中で最もピッタリの体だぜ!」
「心身浄化符!」
危険を察した私はすかさず浄化のお札をみーちゃんに投げた!
「ううっ・・・・今のはひどいぜ・・・・私は悪霊じゃないのに」
包丁紅正から、人の姿をした者が飛び出して姿を見せた。
「ひょっとして・・・・付喪神様?」
「そうそう、ただの料理好きのしがない付喪神だぜ・・・・
調子に乗りすぎたんだ、もう体を支配するつもりはないから許してくれ!」
「それなら・・・・また明日の朝お願いします。今日はもう切る物がないので」
「ありがたい!感謝するぜ!」
付喪神が紅正に戻り、私は紅正をみーちゃんから取り上げた。
「あれ?私は何を・・・・?」
「実は・・・・かくかくしかじか・・・・」
「そんな事があったの!?
確かに『使え・・・・使え・・・・』って包丁から声がしたけど・・・・」
「紅正がみーちゃんの意識に語り掛けたんだね、和解したしもう大丈夫だよ」
「せやな、魚も綺麗に捌けた事やし手間が省けたわ」
「でも、この後はどうしますか?調味料がありませんけど」
「・・・・忘れてましたw」
確かにここは無人島、調味料を都合よく用意してるはずがない。
「調味料・・・・醤油ならあるで」
すると莉子ちゃんがあっさりと料理用の醤油を取り出した。
「何で持ってんのよw」
「いや、今朝寝ぼけとったから麦茶と間違えて・・・・」
「私も烏龍茶と醤油を間違えて一口飲んだ事あるよ。たまにあるよねー」
「いや普通は間違えないわよw色の濃さも違うしw」
「これに醤油をたっぷり付けて焼く・・・・という感じでしょうか?」
「そうですね、鉄板台も作ってもらいましたし。高速船の残骸ですけどw」
石を積み上げて簡単な釜戸を作り、
その上に高速船の残骸を鉄板代わりにして置いた。術で浄化は施してある。
「それじゃあ、焼こっか」
「オー!」
第70話「生存確認」
「あの爆発の煙はどういう意味なんですか?」
「あらかじめ楸に、爆導符を使った連絡の取り方を指示しておいたんだ。
爆発3つは『召集』、2つは『至急』、そして1つは『緊急』だ」
「爆発の数が少ないほど急いで戻れ、っちゅー訳ですね?」
「そうだ、火起こしの煙で仲間が集まったのかもしれない。引き返そう」
俺と部長と莉子は、楸とカズのいる海岸に戻った。
「あっ!帰ってきましたよ!」
「瑞華!」
「エリシアさん!」
そこで瑞華とエリシアさんと合流し、ゲー研のメンバーは無事に全員集結した。
「残るはランスロットさんだけか・・・・」
「安否は分かりましたよ」
「えっ?」
「どこでも繋がる衛星電話で20秒だけランスロットと連絡が取れました。
この島ではなく、人のいる別の島に流れ着いたようです。
もっと話したかったのですが、電話のバッテリーが切れてしまい・・・・」
無事でよかった・・・・しかし人のいる島とは羨ましい。
「一応助けは求めましたから、明日には救助が来ると思いますよ」
「って事で安心しなさい、食糧もいっぱいあるし」
「いっぱい?」
「これがあっしの釣果っす!」
カズが俺達に見せたバケツの中に、大量の魚が!
「おおっ!すげー大漁!」
「私も驚いたわ、まさかカズにこんな才能があったなんて」
「さて、次は寝床の『修理』が優先だ。雨に降られたら困るからな」
「寝床なんてあるんですか?」
「ああ、僕がさっき航海日誌を拾ってきただろう?
あれを見つけたのは、ここのすぐ近くにある簡単な小屋だ」
「では、皆さん移動しましょう。火を移すのを忘れないで下さいね」
「火ならまた私が出しますよ」
「そうか、助かるよ楸」
俺達ゲー研のメンバーは、海岸を10分ほど歩いてその小屋に到着した。
「これは・・・・ボロボロっすね・・・・」
壁のない、東屋のような簡易小屋だ。相当古くなっている。
「補強すれば使えるようになるさ。大きさも申し分ない。
流木を使って、屋根と床を補強だ。釘はないから縄で固定するように」
早速、7人で小屋の修理に取り掛かる。
「親分、縄持ってきたっすよ」
「サンキュー、これで天板の端を支柱にきつく縛って・・・・」
「・・・・親分、『きつく縛る』って言葉に何かを感じないっすか?」
「いきなり何を言い出すんだお前はw」
俺は縄の片方を引っ張って、柱と板を固定しようとした。
「ちょうどええ縄があったわ。これ使うで」
それを知らない莉子も、縄のもう片方を引っ張った。
「に゛ゃぁっ!」
そして楸の声が聞こえ、派手にこけたw
「ひ、ひーちゃんっ!?」
「うぅ・・・・いきなり縄がビーンって・・・・」
理由は単純、縄に足を引っ掛けたようだw
「悪かったw俺のせいだw」
「いやいや、うちの方が悪いわ」
「いやいやいや、俺の方が・・・・」
「いやいやいやいや・・・・」
「ほらほらそこまで!日が暮れちゃうわよw」
瑞華も追加の板と縄を持って来てくれた。
「いや、これは何と言うか・・・・止めてくれて助かったw」
「でもこの縄変なのよね・・・・何かヌルヌルしてるし・・・・」
「・・・・待ってみーちゃん、それは・・・・」
瑞華が右手に握り締めている長い何か・・・・それが口を大きく開けた!
「シャーッ!」
「へっ、蛇だー!」
「瑞華!早く捨てるっす!」
「言われなくても!」
しかし瑞華の手から蛇がすっぽり抜けて俺の方に飛んできた!
「俺の方に捨ててどうするバカー!やめろ威嚇するなー!」
「あらかじめ楸に、爆導符を使った連絡の取り方を指示しておいたんだ。
爆発3つは『召集』、2つは『至急』、そして1つは『緊急』だ」
「爆発の数が少ないほど急いで戻れ、っちゅー訳ですね?」
「そうだ、火起こしの煙で仲間が集まったのかもしれない。引き返そう」
俺と部長と莉子は、楸とカズのいる海岸に戻った。
「あっ!帰ってきましたよ!」
「瑞華!」
「エリシアさん!」
そこで瑞華とエリシアさんと合流し、ゲー研のメンバーは無事に全員集結した。
「残るはランスロットさんだけか・・・・」
「安否は分かりましたよ」
「えっ?」
「どこでも繋がる衛星電話で20秒だけランスロットと連絡が取れました。
この島ではなく、人のいる別の島に流れ着いたようです。
もっと話したかったのですが、電話のバッテリーが切れてしまい・・・・」
無事でよかった・・・・しかし人のいる島とは羨ましい。
「一応助けは求めましたから、明日には救助が来ると思いますよ」
「って事で安心しなさい、食糧もいっぱいあるし」
「いっぱい?」
「これがあっしの釣果っす!」
カズが俺達に見せたバケツの中に、大量の魚が!
「おおっ!すげー大漁!」
「私も驚いたわ、まさかカズにこんな才能があったなんて」
「さて、次は寝床の『修理』が優先だ。雨に降られたら困るからな」
「寝床なんてあるんですか?」
「ああ、僕がさっき航海日誌を拾ってきただろう?
あれを見つけたのは、ここのすぐ近くにある簡単な小屋だ」
「では、皆さん移動しましょう。火を移すのを忘れないで下さいね」
「火ならまた私が出しますよ」
「そうか、助かるよ楸」
俺達ゲー研のメンバーは、海岸を10分ほど歩いてその小屋に到着した。
「これは・・・・ボロボロっすね・・・・」
壁のない、東屋のような簡易小屋だ。相当古くなっている。
「補強すれば使えるようになるさ。大きさも申し分ない。
流木を使って、屋根と床を補強だ。釘はないから縄で固定するように」
早速、7人で小屋の修理に取り掛かる。
「親分、縄持ってきたっすよ」
「サンキュー、これで天板の端を支柱にきつく縛って・・・・」
「・・・・親分、『きつく縛る』って言葉に何かを感じないっすか?」
「いきなり何を言い出すんだお前はw」
俺は縄の片方を引っ張って、柱と板を固定しようとした。
「ちょうどええ縄があったわ。これ使うで」
それを知らない莉子も、縄のもう片方を引っ張った。
「に゛ゃぁっ!」
そして楸の声が聞こえ、派手にこけたw
「ひ、ひーちゃんっ!?」
「うぅ・・・・いきなり縄がビーンって・・・・」
理由は単純、縄に足を引っ掛けたようだw
「悪かったw俺のせいだw」
「いやいや、うちの方が悪いわ」
「いやいやいや、俺の方が・・・・」
「いやいやいやいや・・・・」
「ほらほらそこまで!日が暮れちゃうわよw」
瑞華も追加の板と縄を持って来てくれた。
「いや、これは何と言うか・・・・止めてくれて助かったw」
「でもこの縄変なのよね・・・・何かヌルヌルしてるし・・・・」
「・・・・待ってみーちゃん、それは・・・・」
瑞華が右手に握り締めている長い何か・・・・それが口を大きく開けた!
「シャーッ!」
「へっ、蛇だー!」
「瑞華!早く捨てるっす!」
「言われなくても!」
しかし瑞華の手から蛇がすっぽり抜けて俺の方に飛んできた!
「俺の方に捨ててどうするバカー!やめろ威嚇するなー!」
2011年09月16日
第69話「野生の恐怖」
「俺達・・・・これからどうなるんだ・・・・」
「落ち込むのは早い、僕達のメンバーにはエリシアがいる。
大規模な捜索隊を派遣する事ぐらい、メイフィールド家なら朝飯前だ」
「なるほど・・・・希望は湧いてきたっす。まずみんなで残り4人の捜索を」
「待て、探索は僕と玲人で行う。
楸は術を駆使して火起こし担当、4人の目印になるように煙を立ててほしい。
和浩は食材担当、この漂着していた釣竿で食べられる魚を釣ってくれ」
「うん、二人とも気を付けてね」
「釣りなら自信があるっすよ、アングラーカズの名にかけて!」
「そんなあだ名初めて聞いたぞw」
「実は今考えたっすw」
俺は部長と一緒に残り4人の捜索に向かった。
莉子、瑞華、エリシアさん、そして執事のランスロットさんだ。
「それにしても部長、どうして2人だけで捜索を?」
「4人で探したとしても、バラバラに動くのは危険だ。
結局4人1組で動く事になるなら、最低限の2人でいい。
それに最大の頼みの綱は、禊人の術を使える楸に任せた火起こしだ。
向こうから来てもらう方が効率は良く、何より無人島生活で火は必要不可欠。
捜索は下調べをした僕と実戦経験のある玲人の2人で行うのが最善、
そして玲人は知らないだろうが、和浩の釣りはかなりの腕前だ」
「そうなんですか!?」
「ああ、太公望の領域に達するかも知れない。食事の面は問題ないだろう」
なるほど、カズにそんな得意分野が・・・・
しかし部長の判断力と計画性も凄い。
まさに適材適所、部員の得意分野を見極めてる・・・・
だてにゲー研の部長を名乗ってるわけじゃないか・・・・
「放せー!放せっちゅーに!」
「この声・・・・莉子か!?」
「玲人、先に行け!」
俺は先に莉子の声のした方向に走った。
「あっ!玲人やないか!こいつ何とかしてくれへんか!?」
莉子は植物のツタに縛られ、身動きが取れなくなっている。
「部長が渡してくれたナイフ・・・・これで!」
「ピギャアァァ!」
「な、何だ!?」
植物の花が突然牙を剥き出しにして奇声を上げた!
「ギャー!?何やこいつー!?しかもいきなり舌出した!?
ちょっ・・・・やめ・・・・どこ舐めてんねんこのエロエロ植物ー!」
「大人しく・・・・しろっ!」
俺はその光景にドキドキしながらも、ナイフを植物に突き刺した!
「ピギャアッ!」
「おりゃっ!この野郎!莉子を・・・・放せぇ!」
10回ほどナイフを突き刺したところで、ようやく植物は倒れた・・・・
「大丈夫だったか?」
「・・・・ムッチャ怖かった・・・・おおきに、助かったわ」
「この植物・・・・酸性の特殊な唾液を持っているな」
気が付けば部長も合流していた。
「特殊な唾液?」
「ああ、人体は無理だが服ぐらいなら30秒も舐め続ければ溶かせる」
「それ・・・・ホンマですか?って事は玲人がおらんかったら
うちが素っ裸になって18禁みたいな展開に・・・・いやぁー!」
「・・・・部長、もしかしてこの島、危険なんじゃないですか?」
「そうらしいな。探索するなら武器は必須か」
こんな植物がいるような島で過ごせってのかw
不安が3倍増し、いや、5倍増しになった気がする・・・・
「急いで他の3人を探しに行かないと・・・・」
「ん?空で何か爆発したで!花火とちゃうか?」
莉子が指差した先に、丸い煙が3つ浮かんでいる。
「信号弾・・・・?」
「『召集』のサインだ、海岸に戻ろう」
「落ち込むのは早い、僕達のメンバーにはエリシアがいる。
大規模な捜索隊を派遣する事ぐらい、メイフィールド家なら朝飯前だ」
「なるほど・・・・希望は湧いてきたっす。まずみんなで残り4人の捜索を」
「待て、探索は僕と玲人で行う。
楸は術を駆使して火起こし担当、4人の目印になるように煙を立ててほしい。
和浩は食材担当、この漂着していた釣竿で食べられる魚を釣ってくれ」
「うん、二人とも気を付けてね」
「釣りなら自信があるっすよ、アングラーカズの名にかけて!」
「そんなあだ名初めて聞いたぞw」
「実は今考えたっすw」
俺は部長と一緒に残り4人の捜索に向かった。
莉子、瑞華、エリシアさん、そして執事のランスロットさんだ。
「それにしても部長、どうして2人だけで捜索を?」
「4人で探したとしても、バラバラに動くのは危険だ。
結局4人1組で動く事になるなら、最低限の2人でいい。
それに最大の頼みの綱は、禊人の術を使える楸に任せた火起こしだ。
向こうから来てもらう方が効率は良く、何より無人島生活で火は必要不可欠。
捜索は下調べをした僕と実戦経験のある玲人の2人で行うのが最善、
そして玲人は知らないだろうが、和浩の釣りはかなりの腕前だ」
「そうなんですか!?」
「ああ、太公望の領域に達するかも知れない。食事の面は問題ないだろう」
なるほど、カズにそんな得意分野が・・・・
しかし部長の判断力と計画性も凄い。
まさに適材適所、部員の得意分野を見極めてる・・・・
だてにゲー研の部長を名乗ってるわけじゃないか・・・・
「放せー!放せっちゅーに!」
「この声・・・・莉子か!?」
「玲人、先に行け!」
俺は先に莉子の声のした方向に走った。
「あっ!玲人やないか!こいつ何とかしてくれへんか!?」
莉子は植物のツタに縛られ、身動きが取れなくなっている。
「部長が渡してくれたナイフ・・・・これで!」
「ピギャアァァ!」
「な、何だ!?」
植物の花が突然牙を剥き出しにして奇声を上げた!
「ギャー!?何やこいつー!?しかもいきなり舌出した!?
ちょっ・・・・やめ・・・・どこ舐めてんねんこのエロエロ植物ー!」
「大人しく・・・・しろっ!」
俺はその光景にドキドキしながらも、ナイフを植物に突き刺した!
「ピギャアッ!」
「おりゃっ!この野郎!莉子を・・・・放せぇ!」
10回ほどナイフを突き刺したところで、ようやく植物は倒れた・・・・
「大丈夫だったか?」
「・・・・ムッチャ怖かった・・・・おおきに、助かったわ」
「この植物・・・・酸性の特殊な唾液を持っているな」
気が付けば部長も合流していた。
「特殊な唾液?」
「ああ、人体は無理だが服ぐらいなら30秒も舐め続ければ溶かせる」
「それ・・・・ホンマですか?って事は玲人がおらんかったら
うちが素っ裸になって18禁みたいな展開に・・・・いやぁー!」
「・・・・部長、もしかしてこの島、危険なんじゃないですか?」
「そうらしいな。探索するなら武器は必須か」
こんな植物がいるような島で過ごせってのかw
不安が3倍増し、いや、5倍増しになった気がする・・・・
「急いで他の3人を探しに行かないと・・・・」
「ん?空で何か爆発したで!花火とちゃうか?」
莉子が指差した先に、丸い煙が3つ浮かんでいる。
「信号弾・・・・?」
「『召集』のサインだ、海岸に戻ろう」

